国指定重要無形民俗文化財として認定された見付天神裸祭。冬の夜、裸男たちが練り歩く光景は、遠江でも最大規模の伝統行事です。古代の伝説から近代の保存活動まで、この祭りのすべてを詳述した特集。
祭りの中心となる悉平太郎(しっぺい)伝説。この伝説は、見付天神に祀られた古い信仰と、後代の創作が混在する複雑な形成史を持ちます。平安時代の文献に初見されるこの物語は、時代とともに加工され、現在の「霊犬悉平太郎」という形で定着しました。
裸祭りの儀式構造は、古代の通過儀礼や氏族祭祀の形態を色濃く保持しています。反閇(へんばい)に代表される身体の使用法、鬼踊りの舞踏動作、堂入りの秘儀的側面――これらは、遠江の古い信仰体系を今に伝える貴重な事象です。
文化財として認定されたことで、見付天神裸祭は保存と継承の新しい段階を迎えました。若年層の参加減少、地域社会の変化、観光化との葛藤――現代の伝統行事が直面する問題を通じて、「文化を守る」ことの意味を問い直します。