失われる前に、磐田の記憶を記録し、次の世代へ手渡す

特集 | 磐田の祭り

屋台と神輿が語る、
九つのまちの記憶

磐田の秋は、祭りで満ちる。湊の富が彫った掛塚の屋台、海の六柱に捧げる福田の声、国府と御厨の古い格式、暴れ天竜と向き合う厄流し、そして明治の村が一社に集う郷社。九つの地区それぞれに、由来の異なる祭りが息づいている。地区の色と、その成り立ちからたどってみたい。

祭りは、土地の記憶が形になったものである。なぜそのまちにその祭りがあるのか――港だったから、漁師町だったから、国府が置かれたから、川と闘ってきたから。由来をたどると、磐田という土地の成り立ちそのものが見えてくる。ここでは市内の主な祭礼を、五つの系統に分けて並べた。

古代・国府と荘園

遠江国の中心地、そして伊勢神宮の御厨という古層に根ざす祭り。

見付9月 見付天神裸祭 矢奈比賣神社(見付天神社) 裸の群衆が、神を渡す夜 中泉10月 府八幡宮例大祭 府八幡宮 国府の社に、二十町の山車が集う 御厨10月 鎌田神明宮大祭 鎌田神明宮(島名神社の論社) 伊勢の御厨、鎌の降った地 中泉10月 遠江国分寺まつり 遠江国分寺跡(史跡公園) 天平の国府を、いまに歩く

港と海の信仰

天竜川河口と遠州灘――海の富と祈りが育てた屋台と神事。

竜洋10月 掛塚まつり 貴船神社 遠州の小江戸、湊の富が彫った屋台 福田10月 遠州福田まつり 六社神社 海の六柱に、「ソラヤレ」の声

川との対峙

暴れ天竜の水難を鎮め、厄を流す。川とともに生きるまちの祭り。

竜洋10月 白羽神社祭典 白羽神社 途絶え、よみがえった御渡 南部8月 池田やかた祭り 天白神社 暴れ天竜に、厄を流す

近代の村落再編

明治の神社合祀が生んだ、村々が一社に集う新しい祭りのかたち。

豊田10月 若宮八幡宮(郷社)祭典 若宮八幡宮(郷社) 二十八か村が、一つの社に集うとき

里の素朴信仰

農と暮らしの安寧を願う、台地と里の氏神たちの祭礼。

福田1月 中野白山神社 十日祭 中野白山神社 生き神様と、白いどぶろく 南部1月 八王子神社 お笹ふり 八王子神社(下太) 川で米をとぎ、疫病を祓う 向陽10月 向陽・豊岡の里社祭礼 向笠・大藤・岩田/上野部・敷地・下野部ほかの氏神 台地と里に、小さな氏神の秋

ここに記したのは、現時点でたどれた範囲の祭りである。向陽・豊岡をはじめ、まだ十分に書けていない里の祭礼も多い。地域の記憶を少しずつ書き足しながら、この特集を育てていきたい。

この地域の家・土地・空き家について

古い地名や集落の成り立ちを調べていると、 家や土地には、登記簿だけでは分からない地域の記憶が残っていることがあります。

相続した家、空き家、使わなくなった土地について、 「売る・貸す・残す」の前に、一度整理して考えたい方は、 富士ヶ丘サービス株式会社までご相談ください。